不動産価格を調べる方法を詳しく解説！投資や節税にも生かせる相場の調べ方

不動産価格の調べ方が分からずに悩んでいませんか？
初めてのことで調べ方が分からないと思いますが、不動産の売買や投資において、物件の適切な評価は非常に重要です。

この記事では、不動産価格を正確に調べる方法を詳しく解説します。記事を参考に、不動産投資や税金対策に役立ててください。

不動産価格を調べる目的

不動産価格を調べる目的には、主に以下の3つがあります。それぞれのメリットと不動産価格を正確に調べる重要性を理解しましょう。

目的	メリット
売買価格を正確に把握する	売主と買主双方が納得できる取引につながる
投資の判断材料にする	リスク管理や適切な投資計画に役立つ
相続や税金対策に利用する	税務申告の準備と適正な税金の計算に役立つ

売買価格を正確に把握する

正確な不動産価格の把握は、適正な価格設定と無駄な出費の防止につながります。下記に、売買を目的としたおすすめの調査方法をまとめました。

複数の情報を確認すれば、物件条件や市場動向を考慮した正確な価格評価が可能です。

投資の判断材料にする

不動産投資でも、不動産価格の正確な把握は必要です。地域の将来性や成長を予測し、収益性の高い物件を選択できます。

不動産価格を正確に把握することは、投資リスクの適切な管理や長期的な成功につながります。

相続や税金対策に利用する

相続税の計算基準は不動産の適正評価額に基づくため、正確な不動産価格の把握が必要です。相続や税金対策においては、以下のメリットがあります。

特に遺産分割では、すべての関係者が納得できる方法で財産を分ける必要があります。不動産評価額が明確であれば、公平な分割によるトラブル防止が可能です。

不動産価格を調べる方法

ここでは、不動産価格の調べ方を解説します。不動産価格を調べる主な方法は以下の4つです。

不動産情報サイトの利用

不動産情報サイトを使えば、最新の物件情報や価格が簡単に検索できます。住宅、商業施設、土地などさまざまな情報が手軽に入手可能です。

不動産情報サイトでは、以下の絞り込み検索も可能です。

周辺環境に関する情報やユーザー評価など、さまざまな方面からの情報を参考にできます。
» 不動産屋の選び方を解説

公示価格の確認

不動産の価格は、公示価格を参考にすることで把握できます。国土交通省や税務署は、不動産の売買、相続、贈与における税金計算の基準として公示価格を公表しています。公示価格の例として3種類を下記にまとめました。

地価公示

国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公表する全国の標準地の土地価格のこと。
土地取引価格の指標となる他、公共事業用地の取得価格の算定基準にもなっている。

基準地価

都道府県が毎年7月1日を基準として9月に公表している土地の標準価格のこと。
評価の対象となるのは全国約2万地点の「基準地」です。

路線価

税務署が公開する主要道路沿いに位置する土地の1平方メートルあたりの価格のこと。
国税庁が毎年7月に公開しています。

公示価格は実際の市場価格と異なる場合があり、一般的に補足情報として利用されます。不動産投資判断の材料や価格交渉の参考データとしても活用可能です。公示価格を使えば、より良い取引につながります。

査定サービスの利用

専門の不動産会社による査定サービスも、不動産価格を調べる方法のひとつです。査定方法にはオンラインと訪問の2種類があります。

査定方法	メリット
オンライン査定	基本情報を入力するだけで簡易的な価格把握ができる
訪問査定	専門家による詳細な評価によって精度の高い査定結果が得られる

査定結果は、物件の売買交渉や価格設定で参考にできます。市場価値をより正確に把握するには、複数業者の査定結果を比較することが有効です。適切に査定サービスを使えば、適正な価格での売買につながります。
» 不動産の査定について解説

公的な取引価格情報の参照

不動産価格の調査では、過去の不動産取引情報も参照しましょう。不動産の過去の取引情報として、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」が便利です。

不動産情報ライブラリでは、所在地や面積、過去の取引価格など、実際のデータがまとまっています。適切な価格設定や投資判断に役立つツールです。

不動産価格に影響を与える要因

不動産価格に影響を与える要因は多岐にわたります。特に以下の4点が重要です。

要因	詳細
立地条件	交通アクセス、学校、ショッピング施設の近さなど
物件の状態	築年数、建物の質、リフォームの有無
市場の需給バランス	物件の供給量と購入希望者の数
地域の経済状況	地域の雇用率、収入水準、経済成長率

不動産を購入または売却する際には、価格への影響を考慮しましょう。

立地条件

立地条件の良い物件ほど、不動産の価値は高く評価される傾向にあります。注視すべき立地条件は、以下のとおりです。

駅から近く、ショッピング施設や学校、病院が周辺に充実している地域は、生活の利便性が良いので高評価です。犯罪率が低く自然豊かな環境は、安心して暮らせる場所として評価されます。

立地条件を十分に考慮し、不動産の価値を正しく評価することが重要です。

物件の状態

物件の状態や機能性は、価格評価に直接影響します。建築から長期間経過した物件でも定期的なメンテナンスがあれば、不動産価格は下がりにくいです。築浅の物件でも、メンテナンス不足だと価値が落ちることがあります。

住み心地や利便性も重要な要素です。以下の物件は、長く住みやすい家として評価される傾向にあります。

修繕履歴も重要なチェックポイントです。過去の修繕内容と品質から、今後のメンテナンスの必要性が分かります。

市場の需給バランス

市場の供給と需要のバランスは、不動産価格が変動する重要な要素です。

人口増加や経済成長は需要を増やすため、価格上昇の一因です。政治変動を含む社会的要因は、不動産市場の需給バランスに重要な影響を及ぼします。

地域の経済状況

地域の経済状況は、不動産価格を変動させる要因のひとつです。

新規雇用や将来的な人口増加も、不動産価格を押し上げる要因です。以下の地域は価格上昇の傾向にあります。

地域の経済状況の把握は、将来的な価格上昇の見極めや賢明な投資判断に有益です。

不動産価格を見積もる際の注意点

ここでは、不動産価格の見積もりで注意すべき3つのポイントを解説します。

市場価格と評価額の違いに注意する

不動産売買では、市場価格と評価額の違いを必ず理解してください。市況価格と評価額は、それぞれ以下の特徴があります。

市場価格

実際の取引価格であり、需要と供給のバランスで変動する。市場価格の推移から、周辺の相場も確認できる。

評価額

不動産の物理的特性や利便性などを基に専門家が算出した見積もり価格。市場動向とは異なる場合がある。

市場価格が評価額より高ければ、売主に有利な取引ができる可能性があります。逆の条件では買主に有利です。市場価格と評価額の違いを把握し、適切な価格で不動産取引をしましょう。

最新の情報を確認する

不動産市場は日々変動します。直近の経済情勢や政策変更が不動産価格に大きく影響することがあるため、最新情報は必ず確認しましょう。

最新の市場データや取引事例を参照すれば、より現実的で正確な不動産の市場感覚を得ることが可能です。

複数の情報源を比較する

不動産価格の見積もりや評価の精度を高めるには、複数の情報源の比較が欠かせません。具体的な比較方法は、以下のとおりです。

複数の情報源を利用すれば、不動産価格の正確な評価と信頼性の高い判断材料が得られます。

不動産価格の動向分析

不動産価格の動向分析を行う際の主なポイントは以下のとおりです。

上記を総合的に見ることで、不動産価格の動向を正確に分析できます。

現在の市場状況

現在の市場状況は、複雑で多様な要因が絡んでいます。世界的なインフレが進行しており、不動産市場にも大きな影響を与えています。金利の上昇が不動産購入者の資金調達コストを押し上げ、不動産価格に影響を与えているためです。

都市部では住宅価格が安定している一方で、郊外や地方では価格の変動が激しくなっています。人口の集中や不動産への需要が都市部に集中しているためです。不動産投資への関心が高まっていることも市場に影響を与えており、投資家による物件購入が活発化しています。

オンラインでの物件取引が増加していることも市場の特徴です。物件情報の透明性が向上し、購入者が物件を比較しやすくなっています。ただし新築物件の供給が減少しているため、既存物件の需要が高まり、価格が上昇しやすくなっています。

賃料の上昇が続いている「賃貸物件」。外国人投資家の参入も増加しており、市場の活性化に寄与しています。さまざまな要素が複合的に作用し、現在の不動産市場は多様な動きを見せています。

過去の価格推移

不動産価格の推移を以下のように振り返ると、変動にはさまざまな要因が影響していることがわかります。

2010年

リーマンショックの影響を受けて価格が底を打ちました。2010年は、多くの人々が経済的な不安を抱えていたため、不動産市場も低迷していました。

2012年

アベノミクスの効果が現れ、不動産価格は徐々に上昇。政策は経済の活性化を目指しており、結果として不動産市場にも好影響を与えました。

2016年

東京オリンピックに向けたインフラ整備が進み、価格は急上昇。不動産投資家にとって非常に魅力的な市場環境でした。

2018年

価格は高止まりの状態へ。市場は一時的な安定期に入りました。

2020年

新型コロナウイルスの影響で一時的に価格が下落。経済活動が停滞し、多くの人々が不動産投資に対して慎重になりました。

2021年

経済回復に伴い、再び価格が上昇。回復は一時的なものでしたが、市場には再び活気が戻りました。

2023年

金利の上昇やインフレ懸念が影響し、価格が再び調整局面に入りました。不動産市場は再び変動の時期を迎えています。

上記のように不動産価格の推移は経済状況や政策、国際的なイベントなど、さまざまな要素に影響されて変動しています。過去の価格推移を理解することは、将来の市場動向を予測するうえで非常に役立ちます。

将来の価格予測

将来の不動産価格は、以下の要因によって変動します。

経済成長や景気の状況が大きく影響します。経済が成長しているときは、仕事が増え収入も増えるため、多くの人が不動産を購入したいと考えます。購入意欲の上昇は需要を高め、結果として価格の上昇につながります。

金利動向も重要な要素です。金利が低いときは、ローンが組みやすくなり多くの人が住宅を購入します。金利が低い時期には不動産価格が上がることが多いです。

都市開発やインフラ整備の進展も価格に影響する理由の一つ。新しい道路や駅、ショッピングセンターなどができると、周辺の不動産の価値が上がります。例えば新しい鉄道駅が開業する地域では、周辺の不動産価格が上昇する傾向があります。

政府の不動産政策や規制も影響を受ける要素です。例えば、住宅ローン控除が導入されると、多くの人が住宅を購入しやすくなり、需要が高まります。結果として、不動産価格が上がる場合があります。

環境問題や災害リスクも無視できません。例えば、洪水や地震などのリスクが高い地域の場合、不動産価格が下がる可能性があります。災害リスクが低く、安全な地域の不動産価値は相対的に高くなります。

上記の要因を総合的に考慮することで、将来の不動産価格の動向をある程度予測することが可能です。

不動産価格をプロに調べてもらうメリット

不動産価格をプロに調べてもらうメリットは以下のとおりです。

精度の高い評価が得られる

プロに不動産価格を調べてもらうと、精度の高い評価が得られます。経験豊富な専門家が評価を行うからです。専門家は市場データの詳細な分析を行い、周辺環境や将来の発展計画も考慮します。最新の評価技術とツールを使用することで、客観的で信頼性の高い評価が可能です。

例えば住宅地の評価を行う場合、専門家は地域の人口動態や開発計画、交通アクセスなどを詳しく調査します。調査することで、将来的な価値の変動を予測し、正確な評価を提供できます。

法的なサポートを受けられる

プロに不動産価格を調べてもらう大きな利点は、法的なサポートを受けられること。購入や売却の際に発生する法律的な問題をスムーズに解決できるためです。具体的には以下のようなサポートが受けられます。

例えば、不動産取引における契約書の内容を専門家に確認してもらうことで、不利な条件での契約を避けられます。購入後に予期しない問題が発生した場合でも、迅速に対応できる法的なサポートがあるので安心です。不動産取引がより安全で確実なものになります。

投資リターンを最大化できる可能性がある

投資リターンを最大化できる可能性があります。プロの専門知識と経験を活用することで、最適な投資先を選定できるからです。

プロは市場動向やトレンドを的確に把握しているため、タイミング良く投資判断を行えます。資産価値の正確な評価を基に投資するので、リスクを最小化できます。

プロは法律や税制のアドバイスも行うことが可能です。コストを削減し、リターンを最大化できます。長期的な資産運用戦略を立案することで、持続的なリターンも確保できます。投資リターンを最大化できる可能性は非常に高いと言えるでしょう。

不動産価格をプロに調べてもらうデメリット

不動産価格をプロに調べてもらう主なデメリットは以下のとおりです。

費用がかかる

不動産価格をプロに調べてもらう際には、費用がかかることが避けられません。初めて専門家に相談する際に費用が発生します。評価報告書作成費用も考慮する必要があります。専門家が詳細な評価報告書を作成するための費用です。

専門家のアドバイス料が高額な場合があります。高い専門知識を持つプロフェッショナルのアドバイスは、質が高い反面、費用も高くなることが多いです。費用を総合的に考慮することで、プロに依頼するかどうかを慎重に判断できます。

時間がかかる

不動産価格をプロに調べてもらう場合、時間がかかることは避けられません。主な理由は以下のとおりです。

専門家のスケジュール調整が必要

多くの場合、専門家は他の案件も抱えているので、希望する日時にすぐに対応できないことがあります。

調査そのものに時間がかかる

例えば、地域の市場動向や過去の価格推移などを詳細に調べる必要があります。細かく調べることで、高精度な評価が可能となりますが、時間が必要です。

報告書の作成にも時間がかかる

調査結果をまとめ、明確かつ理解しやすい形式で提供するためには、慎重な作業が求められます。

複数のステークホルダーとの調整が必要

不動産の評価には、売主、買主、不動産会社など多くの関係者が関与するため、各々の意見や条件を調整する時間が必要です。

上記の要因から、不動産価格をプロに調べてもらうことは時間がかかる作業と言えます。しかし、質の高い評価が期待できます。

まとめ

適正な不動産価格は以下のケースで非常に役立ちます。

不動産の価格を正確に調べる方法はさまざまですが、主な調査方法は以下の4つです。

不動産価格には、立地条件、物件の状態、市場の需給バランス、地域の経済状況が影響します。市場価格と評価額の違いを理解し、最新情報と複数の情報源から慎重に見積もりを進めてください。

今回紹介した内容を理解すれば、不動産価格の正確な把握が可能です。
» 不動産の売却方法を解説