不動産の「買取」と「仲介」の違いは？メリット・デメリットも徹底解説！

不動産を売却する際、できるだけ早く現金化したいというニーズは誰にでもあります。実は、どの売却方法を選べばいいか、迷う人は少なくありません。この記事では、不動産買取と不動産仲介の違い、特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。

最後まで読めば、最適な不動産の売却方法を見極める知識が身に付きます。納得のいく不動産売却を実現しましょう。

不動産買取とは

不動産買取とは、不動産会社が直接あなたの不動産を買い取ることを指します。不動産売却においては、不動産会社を通じて買主を探す「仲介」が一般的です。しかし、不動産買取では、売主(あなた)と買主(不動産会社)が直接取引します。

不動産買取の特徴は、以下のとおりです。

買取による不動産売却は、スピーディな取引を求める売主にとって、魅力的な選択肢になります。必要な手続きが少なく、売却までの時間が短縮できるのが大きなメリットです。

不動産買取と不動産仲介の違い

不動産買取と不動産仲介の違いは、以下のとおりです。

売却方法	方式	売却にかかる時間	売却価格	契約不適合責任	仲介手数料
不動産買取	業者が直接物件を購入する	スピーディ	市場価格より低い	無	不要
不動産仲介	売主と買主の間に入り、売買を仲介する	時間がかかる	市場価格で売れる	有	成果報酬

売却までの時間やコストなど、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分の状況に合わせて、売却方法の選択をしましょう。
» 不動産売却に必要な仲介手数料の基礎知識を解説！

不動産買取の種類

不動産買取の種類は、以下の2つです。

売主の状況やニーズに合わせて、適切な買取方法を選びましょう。それぞれの特徴を理解することで、より適切な売却方法の選択ができます。

即時買取

即時買取は、不動産会社が直接物件を購入する方法です。不動産会社との売却額の交渉が決まり次第すぐに売買契約を締結します。売却までの時間が非常に短く、数日〜数週間以内に取引が完了することがほとんどです。売主は、物件の状態を気にせず、買い取ってもらえるメリットがあります。

物件を迅速に現金化できるメリットもありますが、即時買取では、市場価格より低めの価格での買取になる点に注意が必要です。迅速な売却を最優先する方にとって、即時買取は非常に有効な手段といえます。

買取保証

買取保証とは、仲介を目的とした一定期間の売却活動を行った後、期間中に契約まで進めなかった場合に不動産会社に買い取ってもらう方法です。事前に物件の評価額を提示し、設定された価格での買取を約束します。買取保証を利用すれば、売主は物件が売れないリスクの回避が可能です。

期間中であれば、相場価格に近い値段で売却できる可能性があります。しかし、設定された期間内に市場で売れなかった場合、市場価格よりも低く売られることが多いです。できる限り市場価格で売却したい人や、期間に余裕はあるが、仕事や家庭の事情で売却期限がある人は、買取保証がおすすめです。

不動産買取のメリット

不動産買取のメリットは、以下のとおりです。

売却のスピード感を重視する方に、不動産買取はおすすめと言えます。

スピーディな売却ができる

不動産買取では、市場に出すことなく直接買い手が決まります。通常の仲介売買よりも迅速な売却が可能で、短期間で現金化しやすいのが特徴です。

緊急で現金が必要な場合や、新居への移行をスムーズに行いたい場合に、不動産買取は有効な売却方法です。売却のタイミングを自分で調整しやすいため、計画的な資金移動ができます。

仲介手数料がかからない

不動産買取では、仲介業者を介さずに直接取引するため、仲介手数料が発生しません。通常の不動産売却では、販売価格の数パーセントを手数料として支払う必要がありますが、不動産買取では不要です。

仲介手数料がかからないと、手続きがシンプルになり、費用面での負担が減らせます。手数料に関する交渉や調整の手間も省けるため、売却プロセスがスムーズです。不動産の売主にとって、仲介手数料が不要なことは、費用の削減と手続きの簡略化の両面で大きなメリットとなります。

契約不適合責任が免責となる場合が多い

契約不適合責任は、契約に基づいて引き渡された目的物の「種類、品質、数量」に関して、契約の内容に適合しないものがあるとき、売主が買主に対して負担する責任をいいます。

不動産買取では、物件の瑕疵（不具合）を踏まえた上で購入するので、契約不適合責任が免責となる場合がほとんどです。

内覧の必要がない

不動産買取では、内覧の必要がありません。事前の準備が不要で、物件の現状のまま売却が可能です。内覧を行う場合、清掃や整理整頓に時間と労力を要しますが、不動産買取なら手間が省けます。

不特定多数の人が自宅に立ち入る内覧が必要ないため、プライバシーが心配な方にとっても安心です。内覧によるストレスやスケジュール調整の煩わしさがない不動産買取は、多忙な方やすぐに物件を手放したい方におすすめです。

周囲に知られずに売却できる

不動産買取は、広告や看板を使用しないため、物件情報が外部に漏れる心配がありません。プライバシーを重視する場合には、非常に有効な売却方法です。取引は買取企業と直接行われるため、地域社会や近隣住民に不動産の売却が知られず、安心です。

媒介を介さないため、売却情報がネットや新聞に掲載されません。売却理由や個人情報が外部に漏れるリスクが減り、周囲に影響を与えずに手続きを進められます。
» 媒介契約とは？

不動産買取のデメリット

不動産買取のデメリットは、以下とおりです。

上記のデメリットを理解し、自分の状況に照らし合わせて判断しましょう。

低価での売却が多い

不動産買取では、一般的に市場価格よりも低く評価されることが多いです。不動産買取で、低価での売却が多い理由は、以下のとおりです。

短期売却を最優先するなら、低価での売却はやむを得ません。高値売却を目指すなら、不動産買取よりも仲介売却がおすすめです。

市場の動向に左右されやすい

不動産価格を左右する市場の動向は、以下のとおりです。

上記のような要因により、不動産買取の価格は常に変動しやすい状態にあります。市場の動向を的確に読み取り、最適なタイミングで売却することが理想的ですが、短期売却では難しいです。

買取が対象外の物件がある

不動産買取を検討する際は、買取対象外となる物件があることを理解しましょう。市場価値が低いか、何らかのリスクを伴う物件は、買取業者が敬遠する傾向にあります。

買取が対象外の物件は、以下のとおりです。

買取対象外である大きな理由は、買取業者が適切な管理や売却を行うことが難しいためです。買取を検討する際は、自分の物件が対象となるかを事前に確認しましょう。

不動産買取に関するよくある質問

不動産買取に関するよくある質問は、以下のとおりです。

疑問が解決できると、不動産買取をより深く理解できます。自分に合った売却方法を選択しましょう。

買取手数料はいくらかかる？

不動産買取では仲介のように仲介手数料はかかりません。ただし、買取でも税金や手数料などの費用は発生します。

不動産買取の手数料は、一般的に物件価格の2〜6％の範囲で設定されることが多いです。地域や物件の種類、不動産会社で手数料の率は異なり、手数料以外に、登記費用や印紙税などの諸経費が必要になる場合があります。

不動産買取でかかる主な費用は、以下のとおりです。

このほかにも、引越し費用や住宅ローンがある場合は、金融機関に支払う一括返済の手数料などがあります。

一部の買取専門業者では、低手数料または手数料無料でサービスを提供している場合もあります。ただし、最終的な手数料の金額は、物件の評価額や交渉によって左右されるため注意しましょう。買取手数料がどれくらいかかるのか、契約前に確認を取ると安心です。
» 相続登記にかかる費用と節約する方法を解説！

買取契約の解除は可能？

買取契約の解除は、原則難しいですが、条件によっては可能になります。仲介業者がいないため、買主である不動産業者と売主が直接やりとりをします。契約の解除が認められるケースは、契約書に解除条項が明記されている場合です。ただし、契約の解除が認められても、違約金が発生することがほとんどです。

クーリングオフ制度を利用すれば、契約後の一定期間内に限り解除ができる場合もありますが、基本的に不動産買取ではクーリングオフができません。理由は、クーリングオフは「一般消費者が買主である場合に保護する制度」だからです。一般消費者が売主となる場合、制度の解除要件には該当しません。

契約内容に誤りや不備があった場合でも、法律に基づき解約が認められることもあります。万が一、トラブルに巻き込まれた際は、専門家に相談しましょう。

不動産買取が適している事例

不動産買取が適している事例は、以下のとおりです。

具体的な事例が分かると、不動産買取の理解が深まります。

短期間で現金化が必要なとき

短期間で不動産の現金化が必要なとき、不動産の買取は非常に有効な手段です。突然の医療費の支払いや教育費の工面など、緊急に多額の資金が必要になった際には賢明な選択と言えます。

不動産買取業者に依頼すれば、査定から売買契約、代金の受領までの一連の手続きをスピーディーに進められます。通常の不動産売却に比べて、大幅に時間を短縮できる点がメリットです。不動産買取では、資金の現金化が素早くできます。
» 不動産の査定について解説

物件の状態が良くない場合

不動産の状態が良くない場合でも、買取は有効な売却方法です。建物の老朽化が進行していたり、大規模な修繕やリフォームが必要だったりすると、購入者を見つけるのは難しくなります。しかし、買取業者なら物件の状態を見極めた上で、適正な価格で買い取ってくれる可能性が高いです。

立地条件があまり良くなかったり、権利関係に複雑な問題があったりする不動産でも、買取業者は対応してくれるケースが多いです。専門的なノウハウを持つ業者なら、一般の買い手が敬遠する物件でも、取引が成立しやすいと言えます。
» 再建築不可物件とは？メリット、デメリット、活用方法を解説！

売却を急ぐ必要がある場合

何らかの事情で、不動産の売却を急ぐ必要がある場合、買取はおすすめの方法です。売却を急ぐ必要がある場合は、以下のとおりです。

買取なら短期間で確実に不動産を売却できるため、以上の切迫した事情にも対応しやすくなります。通常の不動産売買に比べて手続きがシンプルで、ややこしい作業が少ない点も大きなメリットです。

不動産買取の流れ

不動産買取の流れは、初めて利用する人にもわかりやすくシンプルです。不動産買取の流れについて、以下の3つを解説します。

以上の流れを把握すると、不動産買取をスムーズに進めることが可能です。

1. 初期相談と査定依頼

不動産買取業者に相談を申し込み、売却の理由や希望の時期、物件の概要など物件の情報を提供します。買取業者は、情報をもとに適切な買取プランを提案してくれます。

相談の結果、買取の依頼をすると決めた場合、物件の査定を申し込みましょう。必要書類を準備し、現地での査定の日程を調整します。スムーズに手続きを進めるため、依頼時の情報は正確に伝えることが大切です。

2. 物件の査定と買取価格の提示

物件の査定は、不動産のプロである査定員が基準をもとに、物件を詳しく調査します。物件の査定基準は、以下のとおりです。

上記をもとに査定を行うと、業者から買取価格の提示があります。提示内容に納得できない場合は、再考を求めることも可能です。

3. 売買契約の締結と代金決済

買取価格と売却条件に合意したら、売買契約が可能です。お互いの責任と義務をはっきりさせるため、契約内容を明確にします。売買契約書には、物件の詳細や引渡し時期、決済方法などを明記します。

抵当権の抹消や、住宅ローンの精算などの事務手続きも、決算日に進められることが一般的です。最終的な書類の確認と保存など、すべての手続きが完了すれば、売買契約と決済は完了です。

不動産買取業者の選び方

不動産買取業者の選び方は、以下のとおりです。

不動産買取を依頼する際は、以上の選び方に気を付けると、信頼できる適切な業者と巡り合う確率が高まります。

業者の実績や評判を確認する

口コミサイトなどで利用者の評価をチェックし、高い評価を得ている業者を選ぶのがおすすめです。業者の取引件数が多く、買取に関する豊富な経験を持つ業者であれば、安心して依頼できます。

業界団体に所属していたり、専門資格を持つスタッフが在籍していたりする点も、業者の信頼性を判断する材料になります。利用者の満足度の高さも重要です。実績だけでなく、サービス品質の高さを総合的に評価して、業者を選びましょう。

適正な査定価格を提示してくれる業者を選ぶ

査定価格の適正さも業者選びの大切なポイントです。経験豊富で実績のある業者なら物件の価値を的確に査定し、妥当な買取価格を提示してくれます。過度に安い価格を提示する業者には、注意が必要です。

査定の透明性や合理性も重視しましょう。査定価格の設定理由を、明確に説明できる業者を選ぶことが大切です。必要に応じて複数の業者から査定書を取り、価格を比較検討しましょう。

アフターフォローの充実した業者を選ぶ

不動産売却後の、アフターフォローが充実している業者もおすすめです。買取が完了した後も、トラブルが発生した場合に、適切にサポートしてくれる体制があると心強いです。他にも、税務や法律関連の相談にも対応してくれるサービスがあれば、申し分ありません。

きめ細やかなアフターフォローを提供している業者を選ぶと、売却後の不安やトラブルが大幅に軽減されます。安心して不動産売買を進められます。
» 不動産屋の選び方を解説

まとめ

不動産買取は、不動産会社が直接あなたの不動産を買い取ることです。仲介手数料や内覧が不要で、周囲に知られずに売却できるメリットがあり、手続きが非常にスムーズに進む売却方法です。一方で、市場価格よりも安く売却されることが多く、市場動向に左右されやすいというデメリットも存在します。

不動産買取と不動産仲介の違いを理解した上で、自身の置かれた状況に最も適した方法を選びましょう。不動産買取のメリットとデメリットを理解し、最良の意思決定を行う一助となれば幸いです。