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空き家の所有者にとって、適切な管理は大きな課題です。放置すれば特定空き家に指定されるリスクがあり、さまざまな問題の温床です。この記事では、特定空き家の定義や指定される条件、所有者が直面するリスク、対処法を解説します。
記事を読めば、空き家を適切に管理する方法を理解し、特定空き家を防ぐための手段を学べます。管理が不十分な空き家は特定空き家に指定され、固定資産税の増額や行政代執行のリスクを避けられません。特定空き家に指定されると売却が難しくなり、周辺環境への悪影響もあるため、早めの対応を心がけましょう。
特定空き家とは管理が不十分で問題のある空き家

特定空き家は、管理が不十分で周辺に悪影響を及ぼす空き家を指します。安全性や衛生面、景観に問題があり、地域の生活環境に影響を与えます。一般の空き家と異なり、行政の指導や措置の対象です。所有者には厳しい管理責任が求められ、対策が急がれている社会問題です。
特定空き家と一般的な空き家の違い
特定空き家と一般的な空き家には大きな違いがあります。特定空き家とは、管理状態が著しく悪化し、周辺環境に悪影響を及ぼす空き家を指します。特定空き家の特徴は、以下のとおりです。
- 安全性や衛生面に問題が生じる
- 地域の景観を損なう
- 防犯上のリスクを高める
一般的な空き家は、特定空き家ほど深刻な問題を引き起こしません。特定空き家は法律にもとづき自治体が指定し、所有者には改善命令や罰則が科される恐れがあります。固定資産税の特例措置が適用されず、行政が強制的に対処する場合もあります。所有者の責任が重く、一般的な空き家よりも積極的な管理や改善が必要です。
» 空き家の定義とは?法的枠組みや適切な管理方法について解説
特定空き家に指定される条件

特定空き家に指定される条件をとして以下の4つを解説します。
- 倒壊の危険性がある場合
- 衛生的に有害な場合
- 景観を著しく損なっている場合
- その他の特定空き家の条件
倒壊の危険性がある場合
倒壊の危険性がある建物は、構造上の問題が主な原因です。以下の状態が見られる場合は注意が必要です。
- 屋根や壁の一部が崩れている
- 基礎に著しい亀裂がある
- 柱や梁が腐食している
- 外壁や屋根材が剥がれ落ちている
- 建物全体が傾いている
雨漏りや水漏れが構造を弱める原因となる場合もあります。地震や強風で倒壊するおそれがあったり、すでに一部が崩れていたりする場合も危険です。建築基準法に違反している可能性があり、法的な問題につながる場合もあります。倒壊の危険性がある建物は、周辺住民の安全を脅かすため、早急な対応が求められます。
衛生的に有害な場合

衛生的に有害な状態は、特定空き家の指定条件の一つです。放置された空き家は、さまざまな衛生上の問題を引き起こす恐れがあります。衛生的に有害と判断されるのは、ゴミの放置や不法投棄、害虫や小動物が繁殖している状況です。雑草や建物内部の腐敗・汚染、有害物質の漏出や飛散も、重大な問題です。
近隣住民の健康や生活環境に悪影響を及ぼします。排水設備の破損による汚水の流出や、ネズミやゴキブリなどの発生、カビや菌の繁殖も懸念されます。空き家の所有者は定期的な点検や清掃を行い、衛生的な状態を維持しましょう。
景観を著しく損なっている場合
景観を著しく損なっている空き家は、特定空き家に指定される可能性が高くなります。外観が周囲と調和せず、地域の美観を損ねる要因です。該当する状況は、以下のとおりです。
- 外壁の塗装剥がれ
- 屋根や外壁の穴や亀裂
- 割れた窓ガラス
- 雑草や樹木の無秩序な繁茂
- ゴミや廃棄物の散乱
近隣住民の生活環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。建物の一部が崩れていたり、外観の汚れや錆びが目立っていたりすると、景観を損なう要因です。建物が傾いていたり、周囲と著しく不調和であったりすると、特定空き家に指定される可能性があります。地域の美観を保つには、空き家の適切な管理が欠かせません。
その他の特定空き家の条件
特定空き家は、地域の安全や環境に悪影響を及ぼします。火災の危険性や不審者の侵入、犯罪の温床となるケースに注意が必要です。樹木や雑草が生い茂り、ゴミの放置や不法投棄がある場合も、特定空き家に指定されます。害虫や野生動物の住み家になっていると、周辺の環境に悪影響です。
特定空き家は、空き家が周辺環境に与える影響を考慮して設定されています。近隣住民の安全や生活環境を脅かすと、特定空き家に指定される対象です。建物の状態も判断基準となり、外壁や屋根の破損や窓ガラスの破損がある場合は注意しましょう。劣化が進んでいると、特定空き家の条件に該当します。
悪臭の発生や敷地内への廃棄物の堆積も、衛生環境の悪化を招く要因です。
特定空き家に指定される流れ

特定空き家は、以下の流れで指定されます。
- 地方自治体が調査を行う
- 指定前の通知と意見聴取が行われる
- 特定空き家に正式に指定される
地方自治体が調査を行う
特定空き家の指定には、地方自治体の調査が必要です。空き家の状態や周辺環境への影響を詳しく確認します。建物の外観や周辺環境を確認し、写真撮影や必要に応じた測量を行います。所有者の特定や連絡先の確認、近隣住民からの情報収集も調査員の仕事です。
調査員は建物の状態や危険性を評価し、過去の苦情や通報記録も確認します。必要に応じて、専門家による詳細な調査が行われるケースもあります。調査結果は記録され、報告書として関係部署と共有される流れです。報告書は今後の対応を協議するための重要な資料となります。
調査を通じて特定空き家の実態を正確に把握し、適切な対策を講じる基礎を築きます。
指定前の通知と意見聴取が行われる

特定空き家の指定プロセスにおいて、通知と意見聴取は重要です。自治体から所有者に特定空き家候補としての通知が送られ、指定理由や今後の手続きが説明されます。所有者は通知を受け取り、建物が特定空き家に指定される可能性を知ります。
所有者が実行する手順は以下のとおりです。
- 意見書を提出する
- 改善計画を提示する
- 特別な事情を説明する
意見聴取は公平性と透明性を確保するために行われ、所有者の意見をもとに自治体が最終的な判断を下します。所有者不明の場合は、公示などの代替手段が取られ、権利を保護しつつ適切な対応が進められます。所有者と自治体のコミュニケーションを促進し、より適切な判断を導く重要なステップです。
特定空き家に正式に指定される
特定空き家に正式に指定される際の手順は、地方自治体が以下の流れで行います。
- 通知を行う
- 意見書を提出させる
- 公開による意見聴取を実施する
- 審議会で意見を聴く
- 所有者の意見を考慮して最終判断を下す
- 指定後、所有者に通知し、物件を特定空き家台帳に登録する
- 特別措置法にもとづく措置を適用する
特定空き家などの指定は、地域の安全や環境を守るために欠かせません。所有者にとって大きな影響を与えるため、慎重な対応が求められます。
特定空き家になった場合の影響

特定空き家になった場合の影響は、以下のとおりです。
- 固定資産税が増額される
- 行政代執行のリスクがある
- 法的措置が取られる場合がある
- 売却が難しくなる場合がある
固定資産税が増額される
特定空き家に指定されると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、逆に増額されます。200㎡以下の小規模住宅用地は1/6から1に、200㎡超の一般住宅用地は1/3から1に増額されます。最大で6倍の増額になる可能性があるため、注意が必要です。増額は翌年度の固定資産税から適用されます。
所有者にとって大きな負担となりますが、空き家対策を促すのが目的です。適切な管理や改善を行えば、増額を避けられます。増額措置は自治体の判断により、地域によって異なる場合があります。
» 空き家にかかる税金の基礎知識から特定空き家の問題を幅広く解説
行政代執行のリスクがある

行政代執行は、特定空き家の所有者にとって大きなリスクです。行政が所有者に代わって強制的に対策を行い、執行費用は所有者負担となります。費用が想定以上に高額になるケースもあるため、注意しましょう。所有者の意思に関係なく実施されるので、所有権の侵害と捉えられる可能性もあります。
法的な争いに発展するリスクにも注意してください。代執行後も継続的な管理責任が残ります。行政代執行を受けることで社会的な信用や評判に悪影響を及ぼし、財産価値の低下を招く恐れがあります。長期的な影響を踏まえ、事前に適切な対応を検討してください。
法的措置が取られる場合がある
特定空き家の所有者が行政からの指導に従わないと、段階的な対応が取られます。助言や指導が行われ、従わないと勧告が出されます。勧告に従わない場合は命令が発せられ、違反すると罰金が科される恐れがあるため、注意が必要です。所有者が特定できない場合は行政代執行が行われ、費用は後日請求されます。
緊急時には即時執行が行われるケースもあります。状態が改善されなければ刑事罰の対象です。法的措置が取られる可能性に注意しましょう。特定空き家に対する法的措置は厳格に進められるので、早めの対応が重要です。
売却が難しくなる場合がある
特定空き家に指定されると、物件の売却が難しくなる場合があります。物件の状態や法的制限により、買い手が見つかりにくくなるためです。老朽化した物件は買い手に敬遠されやすくなります。特定空き家に指定されると資産価値が下がり、修繕費用の負担が購入の障壁です。
周辺環境への悪影響を懸念した近隣住民の反対を受ける恐れがあります。売却までに時間がかかり、価格が大幅に下がるリスクも考えられます。
» 【初心者向け】空き家を売却するメリットと売却する方法を徹底解説!
特定空き家から脱却する方法

特定空き家から脱却する方法は、以下のとおりです。
- 空き家の状態を改善する
- 所有者の変更や空き家を売却する
- 解体や再利用を検討する
空き家の状態を改善する
空き家の状態を改善するには、適切な管理と修繕が必要です。特定空き家から脱却するためには、建物の修繕や補強を行いましょう。破損した窓や扉を修理し、外壁や屋根の補修や雨樋の清掃を行うと、安全性と外観を向上させられます。定期的な清掃や除草、植栽管理、害虫駆除も効果的です。
防犯対策として施錠やセンサーライトの設置、湿気対策として定期的な換気を実施してください。近隣住民や自治体と協力し、専門家とともに改善計画を進めましょう。
所有者の変更や空き家を売却する

所有者を変更したり空き家を売却したりすることは、特定空き家から脱却する有効な方法の一つです。新たな所有者が適切に管理すれば、空き家の状態が改善される可能性があります。売却を検討する場合、以下の方法があります。
- 不動産業者に依頼する
- オークション・ネット販売を利用する
- 空き家バンクに登録する
- リノベーション後に売却する
売却を検討する際は、適正な価格設定が重要です。修繕や清掃を行うと、物件の価値を高められます。所有者を変更する場合、相続人・親族への譲渡や寄付、無償譲渡も選択肢です。売却には税金や諸費用がかかるため、事前の確認が欠かせません。専門家に相談すれば、手続きをスムーズに進められます。
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解体や再利用を検討する
特定空き家の問題を解決するには、解体や再利用が有効です。建物を解体して更地化し、土地を有効活用しましょう。リノベーションして新たな用途で再利用したり、地域のニーズに合わせた施設へ転用したりする方法も効果的です。NPOや地域団体への寄付や空き家バンクへの登録で、新たな所有者を見つける選択肢もあります。
解体後の土地は駐車場や新築用地として活用が可能です。建物を残す場合は、シェアハウスや民泊施設、コミュニティスペース、店舗などへの転用が有効です。古民家再生プロジェクトへの参加や、アーティスト・起業家向けのスペース提供などの活用法も注目されています。
地方自治体の空き家対策事業に参加するのも、有効な選択肢の一つです。特定空き家の問題を解決しながら、地域の活性化にもつながります。
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特定空き家の指定を回避する方法

特定空き家の指定を回避する方法を3つ紹介します。
- 定期的にメンテナンスと管理をする
- 法律や条例を遵守する
- 地方自治体との協力体制を構築する
定期的にメンテナンスと管理をする
定期的なメンテナンスと管理は、特定空き家の指定を避けるために重要です。定期的な清掃や草刈り、建物の点検・修繕、換気を行うと、劣化を防ぎ、問題の発生を未然に防げます。雨漏りや水漏れの確認、防犯対策も徹底しましょう。遠方に住んでいる場合は、管理会社や信頼できる知人に依頼すると安心です。
自然災害後は速やかに点検を行い、専門業者による定期診断も有効です。継続的な管理により、地域との良好な関係を維持できます。
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法律や条例を遵守する

法律や条例の遵守は、特定空き家の指定を避けるために重要です。建築基準法にもとづき安全性を確保し、定期的な点検・補修を行いましょう。消防法に従い、電気配線の点検や可燃物の撤去、消火器の設置を行って火災リスクを減らします。自治体の空き家条例や景観条例をもとに、外観や敷地の衛生状態を適切に管理しましょう。
法律や条例を遵守すると、近隣住民とのトラブル防止につながります。道路交通法を守り、樹木の剪定や雑草の除去を行うことが大切です。特定空き家の指定リスクを減らし、地域の安全や環境保全にも貢献できます。
地方自治体との協力体制を構築する
特定空き家の指定を避けるには、地方自治体との連携が欠かせません。自治体と連携すれば、空き家の適切な管理や活用がしやすくなります。自治体の担当部署と定期的に連絡を取り、情報交換や空き家の状態・改善計画を報告しましょう。空き家対策のセミナーや相談会に積極的に参加するのも有効です。
自治体の空き家バンクに登録して活用の可能性を広げたり、補助金や支援制度を利用したりするのも効果的です。地域の空き家対策協議会に参加すれば、広範な情報収集や意見交換ができます。近隣住民や自治会と協力し、空き家の見守り体制を整えましょう。
まとめ

特定空き家は、管理の負担やリスクを伴います。適切な管理や対策を行えば、指定を避けることが可能です。定期的なメンテナンスや法令の遵守、自治体との連携が欠かせません。特定空き家に指定されると、固定資産税の増額や行政代執行のリスクが生じ、売却も難しくなります。
適切な対策を講じれば、改善や所有者変更、解体、再利用が可能です。空き家の管理を怠ると問題が深刻化するため、早めに対策しましょう。
» 空き家問題を解決!適切な管理をして上手に活用する方法を解説